【科学監修】炭酸缶を振っちゃった!デコピン裏技は本当に効く?1,000本のビールで試した科学の結論「教科書で習ったアレ」(テレビ朝日)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
うっかり炭酸飲料の缶を床に落としてしまい、「あ、これ開けたら大惨事になるやつだ……」と絶望したことはありませんか?
令和8年4月20日(月)に放送されたテレビ朝日「教科書で習ったアレ」にて、今回も科学監修を担当させていただきました。教科書で学んだ知識が、私たちの生活とどう繋がっているのかを紐解くこの番組、監修も早いもので3回目となります。今回は監修だけでなく、私自身も出演して解説を行ってきました。

炭酸缶を振っちゃった!絶体絶命のピンチを救う「あの裏技」
炭酸飲料を振ったり落としたりした直後に蓋を開けると、中身が勢いよく噴き出してしまいますよね。そんな時、よく耳にするのが「缶の側面をデコピンで10秒くらい叩くと噴き出さなくなる」という裏技です。

なぜ振ると噴き出してしまうのでしょうか。その理由は、液体の中に溶けていた二酸化炭素にあります。炭酸飲料を振ると、衝撃によって液体の中に小さな気体の泡が発生します。この状態で蓋を開けて一気に減圧すると、それらの小さな泡が「核(きっかけ)」となり、周囲に溶けていた二酸化炭素が次々と気体に戻ろうとします。これが、雪崩のように連鎖して激しい噴出を引き起こすのです。
デコピンの効果は?科学者が挑んだガチすぎる研究
デコピンをすることで、缶の壁面に付着した気泡を浮かび上がらせて、噴き出すのを防ぐ効果がある……と一般的には考えられてきました。実際、番組の実験でも驚くほどの効果が見られ、スタジオが盛り上がりましたし、そのような仕組みがあるのではないかということで紹介されています。
しかし、ここで一つ、科学の面白い(そして少し残酷な)側面をご紹介します。実は、このデコピン効果について「科学的には意味がない」という衝撃的な結論を出した、非常に大規模な研究論文が存在するのです。
2019年、デンマークの南デンマーク大学の研究チームが発表した論文、その名も「To beer or not to beer: does tapping beer cans prevent beer loss?A randomised controlled trial」です。
1,000本のビールで証明された「真実」
この研究、なんと1,000本以上のビール缶(330ml)を使用して行われた、極めて真面目なランダム化比較試験です。研究チームが導き出した結論は、非常にシンプルでした。
「叩いても叩かなくても、中身が減る量に有意な差は見られなかった」
つまり、振ってしまった炭酸を落ち着かせるための唯一にして最強の解決策は、「泡が落ち着くまで静かに待つこと」。待つことで、壁についていた小さな気泡が自然に浮上したり、再び液体の中に溶け込んだりして、内部が安定するのです。また、温度が低いほど二酸化炭素は液体に溶け込みやすくなるため、「冷蔵庫で冷やしながら待つ」のが最も確実な方法と言えるでしょう。
ただし番組で紹介されているように、デコピンをすることよって大きな効果が実際に見られる例もあります。仕組みとしては缶の側面についた泡だけが関係するかどうかはわかりません(関係はするのでしょうが)内部にある泡にも微弱な振動が影響していると考えられます。まだまだわからないことが多い裏技であると言えるでしょう。メントスコーラーの実験では、内部の気泡が関係していると言われています。
科学は「教科書の先」にあるから面白い
教科書に書いてある知識は、世界の現象を解き明かすための大切な鍵です。しかし、それがすべてではありません。1,000本のビールを使った実験のように、当たり前だと思われていた裏技が覆されることもあれば、新しい発見が生まれることもあります。

身近な現象の中には、まだまだ実験の余地がたくさん残されています。世界はそれだけ広くて、面白いものに満ち溢れているのです。番組を通じて、そんな科学のワクワク感が少しでも伝わっていたら嬉しいです。
お問い合わせ・ご依頼について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中!
科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!
5月のイチオシ実験!
キーンと冷えるドライアイス!気温が上がってくるこの時期・ドライアイスを使った昇華・凝結・等速度直線運動の実験はいかが?

液体ゼロ!ドライアイスが消えるまでの3時間を科学する(昇華・凝結・等速度直線運動)
テレビ番組監修・イベント等のお知らせ
- 4月30日(木)「THE突破ファイル」(日本テレビ)の科学監修を担当しました。
- 5月8日(金)理科教育ニュースを担当しました。
- 6月14日(日) 千葉大学インスタレーション「探究」にて講師を務めます
- 6月26日(金) 千葉大学の公開研究会(中学理科について授業公開予定)
- 7月18日(土) 教員向け実験講習会「ナリカカサイエンスアカデミー」の講師をします。お会いしましょう。
書籍のお知らせ
- 『大人のための高校物理復習帳』(講談社)…一般向けに日常の物理について公式を元に紐解きました。特設サイトでは実験を多数紹介しています。※増刷がかかり6刷となりました(2026/02/01)

- 『きめる!共通テスト 物理基礎 改訂版』(学研)… 高校物理の参考書です。イラストを多くしてイメージが持てるように描きました。授業についていけない、物理が苦手、そんな生徒におすすめです。特設サイトはこちら。

各種SNS(更新情報をお届け!)
X(Twitter)/instagram/Facebook(日本語)
Explore
- 楽しい実験…お子さんと一緒に夢中になれるイチオシの科学実験を多数紹介しています。また、高校物理の理解を深めるための動画教材も用意しました。
- 理科の教材… 理科教師をバックアップ!授業の質を高め、準備を効率化するための選りすぐりの教材を紹介しています。
- Youtube…科学実験等の動画を配信しています。
- 科学ラジオ …科学トピックをほぼ毎日配信中!AI技術を駆使して作成した「耳で楽しむ科学」をお届けします。
- 講演 …全国各地で実験講習会・サイエンスショー等を行っています。
- About …「科学のネタ帳」のコンセプトや、運営者である桑子研のプロフィール・想いをまとめています。
- お問い合わせ …実験教室のご依頼、執筆・講演の相談、科学監修等はこちらのフォームからお寄せください。


