1/25「チャンハウス」にて放送！カニ歩き？雨の日に濡れない最強の方法を物理で解明！

ケン博士

サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

2025/01/25「チャンハウス」（フジテレビ　11:00〜）にて、科学関係の解説を行いました。

このお話をいただいたのは昨年のこと。撮影は勤務校で撮影が行われ、解説を担当しました。この番組、いろいろな雑学を紹介するのですが、その中で科学的なテーマを分かりやすく、そしてちょっぴり面白くお話しさせていただきました。

担当したテーマは…

「雨に濡れないで移動するためにはどうすればいいか」です。

個人的にはとても興味深い内容でした！きっと科学に詳しくない方でも「へぇ〜！」となるような話題なので、ぜひチェックしてみてくださいね。Tverで確認することができます。時間は開始3５分頃からです。

https://tver.jp/episodes/ep8niqu1ij?p=2058

突然の雨、傘がない！そんなとき、どうすれば一番濡れずに目的地に行けるのか、考えたことはありますか？実はこれ、入試問題にも出たことがあるんです。面白い物理の問題として、今でもいろいろな場面で取り上げられています。さて実際にはどうしたらいいのか？

今回考案した方法で、和田まんじゅうさんに人工的な雨を降らせた中で、走ってもらいました。

手間がかかっています。今回は、その内容をわかりやすくお届けします！

人間を「直方体」にしてみよう！

では早速どういう方法なのかを番組では詳しくお話しできなかったので見ていきましょう。人間を「直方体」と仮定します。

えっ？何それ？と思うかもしれませんが、これは物理でよく使う方法。形をシンプルにすることで計算しやすくするんです。さらに、雨粒を空気中に均一に存在するものとして、1立方メートルあたりρ（ロー）個の雨粒があると仮定します。これで準備OK！

体の前面と頭に当たる雨の数を計算！

では、計算スタート。体の前面を「S_前」、頭の面積を「S_頭」とします。v [m/s]の速度で動いた場合、単位時間あたり（１秒間）に体の前面に当たる雨の数は次のように計算されます。

S_前 × v × ρ [個]

一方、頭に当たる雨は、雨の降る速度を鉛直下向きにv_雨 [m/s]とすると、１秒間に頭にあたる雨の数は次のようになります。

S_頭 × v_雨 × ρ [個]

一定距離を移動したときにぶつかる雨の数

よって、ｔ秒後に距離x [m]を移動した場合、その間に当たる雨の総数は、次の式で表されます。

（S_前 v ρ＋S_頭 v_雨 ρ）×　t　=（S_前 v ρ＋S_頭 v_雨 ρ）×　x/v

=S_前 ρ x ＋ S_頭 (v_雨 / v) x

ここで注目ポイント！

•S_前 ρ x は速度vに依存しません。つまり、歩いても走っても変わらない！

•S_頭 (v_雨 / v) x は、速く走るほど減少します。つまり、走ったほうが雨には濡れにくい！

濡れにくくするコツ

さらに、濡れにくくする工夫もいろいろ考えられます：

1.カニ歩き：体の前面の面積（S_前）を小さくすることで、前に当たる雨粒を減らせます。

2.低姿勢で移動：しゃがむことで体の前面の面積を減らし、雨の当たり方を最小限にできます。

雨粒の速度を利用する方法

こちらは上とは条件が別となるのですが、雨がどれくらいの速さで降ってくるかも大事なポイントなのです。先ほどの議論では、前方にある雨は、密度が変化せずに動きは関係ありませんでした。でも実際には人が動くと、雨が斜めから降ってくるようになります。そこで体を倒して角度をつけることにより、前面にあたる雨を減らすことができます。

計算をしていきましょう。以下のような雨粒の速度（終端速度）が参考になります。

•小雨（半径0.2mm）：1.6 m/s

•普通の雨（半径0.4mm）：3.3 m/s

•大雨（半径1mm）：6.5 m/s

例えば、大雨が降ってきたとして、その終端速度が6.5 m/s、人が走る速さを4 m/s（時速14.4km）とした場合、