ミニ雷から紫の輝きまで。静電気と陰極線で電気の歴史をたどる実験動画

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「電気」と聞くとスイッチを押せば明かりがつく、ごく当たり前の存在に思えますよね。でも、その電気の正体を人類が初めて「目で見た」瞬間があったとしたら? 今回の実験は、まさにその歴史的な発見と同じ現象を自分たちの手で再現するものでした。色々と実験をしてみたこちらの道具をごらください。

まずこちらは、友人のKさんが撮影した雷(稲妻)の様子です。すごい瞬間を捉えていますね。

バンデグラフで静電気を体感!髪の毛が逆立つ理由

まず登場したのがバンデグラフ発電機です。

金属の球体に静電気をどんどん蓄えていく装置で、触れると髪の毛が放射状にふわっと逆立つ、あの実験です。なぜ髪が逆立つのかというと、体に蓄積された電荷がすべて同じ種類(たとえばプラス)になるため、同じ電荷どうしが反発し合って、一本一本の毛が互いに遠ざかろうとするからです。静電気は目に見えないはずなのに、体全体がその存在を「感じる」ことができるおもしろさがあります。

放電の様子アップ

ミニ雷を作る!誘導コイルの仕組み

次に使ったのが誘導コイル(インダクションコイル)です。これは低い電圧を一気に何万ボルトもの高電圧に変換できる装置で、取り扱いには細心の注意が必要です。この高電圧を空気中で放電させると、バチッと光るミニ雷が生まれます。

本物の雷も仕組みは同じで、雲と地面の間に巨大な電位差(電圧)が生じ、空気の絶縁が破れた瞬間に一気に放電が起こります。誘導コイルの火花はほんの数センチですが、自然の雷はその放電が数キロメートルにわたって起こるのですから、スケールの違いに驚かされます。

空気を抜いていくと…紫色に光る!陰極線の正体に迫る

今回の実験のハイライトがこちらです。誘導コイルで高電圧をかけながら、ガラス管の中の空気を少しずつ抜いていきました。

真空に近づいていくにつれて、ガラス管の中が幻想的な紫色の光で満たされていく様子が観察できます。これが陰極線の正体です。

陰極線とは、マイナス極(陰極)から飛び出してくる電子の流れのことです。空気が多い状態では電子が空気の粒子にぶつかって遠くに進めませんが、空気を抜いて真空に近づけると、電子が一気に加速して飛び進み、ガラス管の壁にぶつかって発光します。この紫色の輝きこそが、電子の流れが「見える」瞬間です。

じつはこの現象、19世紀の科学者たちが「電気の粒(電子)が本当に存在するのか」を確かめるために夢中で研究したものと同じです。1897年、イギリスの物理学者J・J・トムソンがこの陰極線の研究から電子を発見し、原子の内部構造の解明へとつながっていきました。そしてこの技術が発展してできたのが、かつてのテレビのブラウン管です。ブラウン管も電子ビームをスクリーンにあてて光らせており、陰極線の応用そのものでした。

目に見えないものを「見る」ことの意味

今回の実験を通じて感じるのは、科学の発見が「見えないものを見えるようにする工夫」の積み重ねだということです。電子は目に見えません。でも条件を整えれば、その存在を光として目撃することができます。バンデグラフの静電気も、誘導コイルの火花も、陰極線の紫色の輝きも、すべてこの宇宙にあふれる電気という力が、形を変えて姿を現した瞬間です。実験を見ながら、19世紀の科学者たちが感じたであろう「これが電気の粒だ!」という興奮を、少し共有できた気がします。

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