アーチ構造は語る──スウェーデンで見た“支え合いの科学”

スウェーデンで見た“支え合いの科学”
以前スウェーデンの「ゴッドランド島」を訪れたことがあります。この島、スウェーデンの中でも歴史ある場所として知られており、とくに「ヴィスビュー(Visby)」という街は、中世の面影が色濃く残る、まるでおとぎ話のような世界でした。
実はこのヴィスビュー、「天空の城ラピュタ」のラピュタ城や、「魔女の宅急便」の街のモデルになったともいわれている場所なんです。現地で見てみると……なるほど、たしかに! 城壁に囲まれた街、崩れた教会跡、風にそよぐ草花、どこを切り取ってもジブリの世界観に浸れます。
特に感動したのは、戦争で崩れてしまった教会の廃墟。そこに残された「アーチ構造」がとても印象的でした。草が生い茂る中にぽっかりと浮かび上がるアーチ。石と石が互いを支え合いながら、まるで「時を超えた力」を語りかけてくるようでした。自然に還りつつある人工物の姿に、人間が作り出すものの儚さと美しさを感じました。
そして、もっと驚いたのが、ヴィスビューの歴史博物館で出会った“体験型”の展示。なんと、アーチ構造を積み木で再現できるコーナーがあるんです!
まずは、土台の枠に沿って積み木を並べていきます。板を少しずつ起こしていくと……おお、アーチが完成!
壊す前。下にある枠にそって積み木をおいていき、
少しずつ板を起こしていくと、
アーチの完成!板をその後はずしていきます
できました!
その後、そっと支えの板を引き抜いてみると、自立するアーチが堂々と立ち上がるのです。最後に、アーチのてっぺんにある「要石(かなめいし)」を抜いてみると——ガラガラッ! あっという間に崩壊!
この展示、理科の授業や文化祭でも絶対使えそうだと感じました。力の伝わり方や構造物の安定性を、実際に“体で感じて”理解できるのが最大のポイント。遊びながら科学を学べる、これぞ理想の教材!
積み木を一つひとつ作るのは少し大変かもしれませんが、木材があれば意外と再現できそう。文化祭で生徒たちと一緒に作って展示するのもアリです。物理的な構造の理解だけでなく、展示の「伝え方」や「体験のデザイン」まで学べる、総合的な探究にもつながりそうです。
遊べる、体感できる展示って本当に素敵ですよね(^^)
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