油からできてる!?サラダ油で手作り石鹸に挑戦してみた(お掃除の化学)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

石鹸(石けん)は何からできているか、知っていますか?

実は身近な「油」からできているんです。しかも、その作り方には、私たちが普段やっているお掃除と同じ化学反応が隠れています。今回は書籍「めんそーれ!化学」(岩波ジュニア新書)P196に掲載されていた石鹸作りを、科学部の生徒たちと実際にやってみました。

材料はたったの3つ!サラダ油で石鹸作り

用意するものは、炭酸用のペットボトル(2L)、水、水酸化ナトリウム、そしてサラダ油です。作り方は驚くほどシンプルです。

まず、ペットボトルに水を100mL、水酸化ナトリウムを45g入れます。なお水酸化ナトリウムは苛性ソーダ(かせいソーダ)と呼ばれることがあります。ナトリウムをソーダと読むことがあります。

ここで注意したいポイントがあります。水酸化ナトリウムが水に溶けるとき、大きな熱が発生するのです。そのため、必ず水を張った水槽などにペットボトルを入れた状態で、水酸化ナトリウムをしっかり溶かしましょう。

水酸化ナトリウムが完全に溶けて、ペットボトルが冷えてきたら、そこにサラダ油を330mL入れます。使い終わった廃油でもOKです。捨てるはずだった油が石鹸に生まれ変わると思うと、なんだか得した気分になりますね。

ペットボトルにしっかり蓋をしたら、あとはひたすら振るだけ!目安は10分ほどです。

これがなかなかの重労働ですが頑張ります。

振り終えたら、牛乳パックや紙コップなど好きな型に流し込んで、2〜3日乾燥させます。型から出したら、ナイフなどで好きな大きさに切り分け、そこからさらに1ヶ月ほど寝かせれば、手作り石鹸の完成です!

石鹸作りの裏側にある化学反応式

ここからが今回のいちばん面白いところです。石鹸ができる瞬間を、化学反応式で覗いてみましょう。トリグリセリドが油脂です。

できた石鹸は、Rの疏水基部分と、COO-Na+の親水基の部分を持っているため、界面活性剤としての役割があり、油汚れに効きます。また他の界面活性剤に比べて、疏水基が大きいため、大きな固体脂肪との親和性が高いとのことです(※)。

※ 参考 洗浄洗剤の基本と仕組み

この式に登場する主役たちを、左側から順番に見ていきましょう。

  • トリグリセリド(油脂) 私たちが普段「油汚れ」と呼んでいるものの正体です。今回はサラダ油を用意しました。
  • 水酸化ナトリウム(強アルカリ) 汚れを分解するための「攻撃役」です。今回は強力な水酸化ナトリウムを使いましたが、お掃除の場面ではもう少しおだやかなアルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダなどが活躍します。
  • グリセリン 化粧水などにも使われる、しっとりとした成分です。水に溶けます。
  • 脂肪酸ナトリウム(石鹸) これこそが「石鹸」そのものです。水に溶ける性質を持っているため、油汚れをこの脂肪酸ナトリウムに変えてしまえば、あとは水で洗い流すだけで汚れがすっきり落ちるというわけです。

油とアルカリが出会うと、水に溶けない「油汚れ」が、水に溶ける「石鹸」に変身する。これを鹸化と言います。油脂(トリグリセリド)が水酸化ナトリウムなどの強アルカリと反応して、石鹸(脂肪酸塩)とグリセリンに分解される化学反応のことです。

油は「脂肪酸」と「グリセリン」が結合したエステルという物質です。これを強アルカリ(水酸化ナトリウム)で分解して石鹸を作るため、ケン化と呼ばれます。

この反応は、強アルカリ性の洗剤を使って髪の毛などのパイプに詰まった汚れを落とす際に使われています。パイプ汚れの油脂・脂肪をケン化によって分解し、石けんと水溶性のグリセリンに変えます。さらには強アルカリはタンパク質をアミノ酸に分解したり、タンパク質高分子の網戸結合を加水分解反応で切断して、低分子化する作用もありあす。

※ なお重曹等の弱アルカリ性の潜在については、別の反応となります。

石鹸作りとは、油汚れを分解する化学反応を、あえて、自分の手で起こして「石鹸」という形に閉じ込める作業だったんですね。ふだん何気なく使っている台所用洗剤や石鹸も、こうした化学反応のおかげで汚れを落としてくれているのだと思うと、洗い物の時間もちょっと楽しく感じられるかもしれませんね。

めんそーれ!化学

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