【看護学生の物理の質問】θがどこにくるのかわからない!
大学生も困っている
#リメディアル教育 とは、「大学教育を受けるにあたって不足している基礎学力を補うために行われる教育」(wikipedia)のことです。看護系の大学で、物理が苦手な学生が多いということで、以前リメディアル教育に関係する教科書『まるわかり基礎物理』(南山堂)という本を書きました。
看護系の学生にとって物理を知るということはとても大切で、介護等の #ボディーメカニクス や、点滴を行うための器具の圧力の読み方など、いろいろな場面で物理の知識が必要になるそうです。
そんな看護系に進んだ卒業生から、質問を受けることがありここにまとめておこうと思いました。高校で物理を教えていても、かなり多く質問を受けることですので、もしかしたら、いろいろな方に参考になるかもしれません。
重力の斜面方向の成分にsinθがなぜつくのかわからない
力の分解をつかって、斜面上の物体の運動や、力のモーメントを考えるときに、問題文で与えられた角度θが、どこと対応するのかがわからなくて、sinとcosがひっくり返ってしまう生徒がよくいます。模試の問題をもってきて、質問に来た生徒がいました。例えば次のような斜面と、力のモーメントの図があったとします。
斜面上での物体の運動
力のモーメント
問題文で上の図のように、45度に近い角度が示された図が描かれているは要注意です。たしかに重力を分解してみると、どこにθがくるのかが、図からぱっとみて判断できません。
どこにθがくる?
サインとコサインどっち?
まずは、図を極端な図に書き直してみましょう!
このような場合には、三角形の相似条件を使って考えていくことが一般的ですが、与えられた図を極端な図にして描きなおすことをすすめています。例えば、斜面の図の斜面の角度を極端に小さくしてみます。
すると、重力を分解したときに角度の小さな尖った部分がθかな?と推測できます。またθを極端に大きくして、図を書き直しても良いでしょう。例えばさきほどの力のモーメントに関する問題ですが、θを大きくして描いてみましょう。
これなら、どうみてもθの位置がわかりますよね。このように、問題文で与えられている図が45度のようなあいまいな図の場合は、図を書き直して、角度を極端な状態(30度や60度など)にしてみましょう。θの移動が相似条件をつかって考えるよりも、その様子でわかります。
相似や錯角の関係などを利用しています
もちろん、どうしてθがそこにくるの?と理屈で押さえておく必要もありますね。例えば斜面の場合は、2つの相似な直角三角形に着目をして、θの位置を見出していくと、
このように大きさが表せることがわかります。
このように、三角形の相似条件をつかったり、平行線と錯角の知識をつかったりします。こちらに解説動画をまとめたので、合わせてご覧ください。
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力ってなんだろう?力の性質とその種類についての授業です。 |
科学の情報はこちらにも掲載しています。
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