ハンドスピナーを触らずスグ止めるたった1つの方法
ハンドスピナーを触らずに止める
一昨日紹介したハンドスピナーを触らずに止める方法、それは渦電流ブレーキを使うというものです。
この方法について紹介をした所、読者からメールをいただきました。その内容は「なぜハンドスピナーをつかって渦電流ブレーキの実験を行おうと思ったのですか?」というものです。
実は別のいろいろなもので実験をしていたからというのがその答えです。今日はそれらについてご紹介します。
お鍋のフタ
実はこれを行う前は「おなべのフタ」をつかっておこなっていました。真鍮(銅と亜鉛との合金)のお鍋のフタを使っていますので、磁石を近づけても磁力を受けないものを使います。
このおなべのフタを回転させた状態にして、磁石を近づけることによってすぐに止まるという演示を見せていました。こちらの動画を御覧ください。
ハンドスピナーと比べると、すぐに止まるのでわかりやすさはあります。
金属面が大きいということと、ハンドスピナーと比べると、ベアリングなどは
もちろん無いので、もともと早めに止まるという性質があります。
この実験は大きくて生徒に見やすくて良いのですが、同じお鍋のフタを買うためには、まったく同じお鍋をもう一つ買わなければいけないという欠点がありました。浅草橋などでフタだけ売っているお店を探しましたが、見つかりません。
地球ゴマ
そこで2回同じようにまわして実験をしていたのですが、どうしてもその場で同時に回した比較対象がほしくなります。そのため、地球ゴマを複数買って、同時にまわしてから磁石を近づけるということもしていました。
※ 生産終了でバカ高い値段になってしまいました。
これもこれでよかったのですが、生徒に地球ゴマの回し方を伝授しなければいけなかったこと、また地球ゴマの販売が終了になってしまったことで困っていたのです。そこで発見したハンドスピナー。
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何に使うのかがまったくわからなかった「ハンドスピナー」ですが、渦電流ブレーキの実験に使うことがパットあたまに浮かんだというわけです。いろいろなもので試せる渦電流ブレーキ、とてもフシギな現象なのでぜひご自宅でもお試しください。
※ いろいろなハンドスピナーがでていますが、どのハンドスピナーでもこの実験がうまくいくとは限らないと思っています。鉄製のものなどもありそうなので、注意をして買ってみてください。
渦電流ブレーキっていったいなに?
渦電流ブレーキについて知りたいと思った人もいるかと思います。電車や大型の車などに実際に搭載されているブレーキで、非接触なのがその特徴です。
渦電流ブレーキについては拙著『大人のための高校物理復習帳』にまとめてありますが、例えば次の図のように磁石をアルミ板の上などですべらせた場合に、N極が近づいてくる前面では、磁束を一定に保つために、N極が近づいてこないように電流が流れるという現象です。
これを利用すると、アルミパイプの中におとした磁石がなかなか落ちてこなかったり、
ゆれたコイルをすぐに止めたり、
することができます。電磁誘導の一種ですが、詳しくはこちらにもまとめてありますので、御覧ください。
別件ですが、昨日から子供が40度近い熱が出て、ばたばたしています。今日の朝にやっとおちついて、熱が下がってきました。念のために病院にも連れて行こうと思いますが、やはりいろいろと予定していたものが動かなくなり、子育ての大変さを体感しています。とりあえず自分が倒れないように頑張っていきたいと思います。
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桑子 研(くわこけん)
1981年群馬県生まれ。サイエンストレーナーとして全国で実験教室やICT活用講演会を開いている。著書は『大人のための高校物理復習帳』(講談社)、『きめる!物理基礎』(学研)など10冊。