1ではない?なぜ水の密度は0.99997 g/cm³なのか
目次
水の密度はなぜぴったり1cm³あたり1gなのでしょうか?
前回単位についての記事を描いたところ、「なぜ水1gの密度は1g/cm³なのか?」という質問が届きました。
実はこれは前回の記事にもかいたとおり、あたりまえといってしまえば当たり前のことなんですね。
あれ?なんか変なのが混じっている!?
まずはSI単位系について見てみましょう。
SI単位系でちょっとあれ?っともうコトがあるんです。
例えば、1m。これは、1mを決めてから、
1mの1000倍で1kmといように単位が決められています。
基本となる単位は1mです。
また時間の単位秒は、まずは1秒をきめて、
その3600倍が1時間というようになっており、
基本となる単位は1秒です。
でもちょっとおかしな単位があるんです。重さの単位。
kgだけはgではなく、kgを決めてから、
その1000分の1としてgが決められています。
なぜkgから決めれたのか?
はじめに1kgが決められたのは、1mが決められてからです。
当初、10cmの立方体(体積は10cm^3)に入る水の量、それを1kgと定義しました(19世紀初頭)。
10×10×10[cm^3]の水=1[kg]
ですから、水の密度が1cm^3あたり1gというのは当たり前なんですね。
1000[cm³]=1000[g]
→
1[cm³]=1[g]
ちょっとまてよ・・・教科書には正確に「1」とは書いていないじゃないか
よく教科書を見ると、
厳密に密度は1g/cm³になっていないことにも
気がつくと思います。
例えば、Googleで水の密度と検索をすると、
0.99997 g/cm³
とでてきます(1気圧4℃のとき)。1に近いは近いですが、微妙に違う。
なぜこのようなズレも生じているのでしょうか。
実は今は水1000cm³の質量が1kgと決められていません。
別の定義を使用しています。
というのも、水を正確に1000cm³はかることが非常に難しいからです。
正確な1000cm³の容器を用意して、高純度の水を使い、1気圧にたもちつつ、温度調整も必要になります。
というわけで、現在では1kgの国際キログラム原器(分銅)というものの重さ自体を、
1kgというようにして使われています。
つまり、1kgの定義が、水の質量から、人間が作った分銅の質量に変わったのですね。
ですから国際キログラム原器と比べると、
水の密度は少しずれてしまいます。
単位ってあまり学校では習いませんが、よく知っていくと面白いですね。
時間があれば、次回は電磁気学の単位についてもご紹介しようかなと思います。
前回も紹介しましたが、単位に関する本はたくさんでていますが、おすすめはこちらです。
先日改訂版がでました。普通によめて、奥の深い本となっています。
ニュースレター
・ニュースレターはブログでは載せられない情報を配信しています。
科学イベントのお知らせ
桑子 研(くわこけん)
1981年群馬県生まれ。サイエンストレーナーとして全国で実験教室やICT活用講演会を開いている。著書は『大人のための高校物理復習帳』(講談社)、『きめる!物理基礎』(学研)など10冊。