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夏の主役!スイカの「くるくる模様」と「タネの色」に隠された物語

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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スーパーでずらりと並んだスイカ。夏の代名詞とも言えるこの瑞々しい果物、皆さんもきっと大好きですよね。甘くてシャリシャリとした食感は、暑い日に最高の涼を提供してくれます。でも、ちょっと待ってください。ただ食べるだけでなく、このスイカを半分に切った時、その断面に現れる不思議な模様や、中に入っている黒いタネと白いタネの違いに、皆さんはどれくらい意識を向けたことがありますか?

スイカを半分に切った時、果肉の中にタネに向かって放射状に伸びる、あるいは「くるっ」と丸まったように見える筋があることに気づいたことはありませんか? この可愛らしい模様の正体は、実は**「維管束(いかんそく)」**と呼ばれるものです。

では、維管束とは一体何なのでしょう? 簡単に言えば、維管束は**植物の体の中を水や養分が運ばれる「道路網」**のようなものです。私たちの体でいう血管や消化管のような役割を担っています。

維管束は、主に以下の2種類の管からできています。

スイカの果肉の中の維管束は、主にタネに養分を届けるために発達しています。あのくるっとした模様は、スイカが自身のタネを立派に育てるために、効率よく栄養を供給している証拠なのです。この繊細で機能的なネットワークを想像すると、スイカがもっと愛おしく感じられますね。

参考サイト:https://hicbc.com/magazine/article/?id=kurashi-news-22081001

黒いタネと白いタネ、その違いは「受精」の有無!

スイカを食べ進めると、黒くて立派なタネと、小さくて白い、未熟そうなタネの両方を見つけることがあります。これらのタネの色や形の違いは、単なる成長段階の違いではありません。実は、**「受精(じゅせい)」**という植物の生殖プロセスが深く関わっています。

参考サイト:https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2024#:~:text=果実が成熟する頃,です(無胚種子)%E3%80%82

ウリ科植物の繁殖戦略

メロンもスイカも同じウリ科の植物ですが、その種子の配置には明確な違いが見られます。またメロンの種はきれいに中央に集まっているのに、スイカの種はあんなにも果肉の中に散らばっているのでしょうか?これは、それぞれの植物がどのようにして種子を遠くまで運び、子孫を残そうとしているのかという、異なる戦略の表れなのかもしれません。

メロンの戦略:一点集中型で確実に運ばせる

メロンの種は、果実の中央、いわゆる「ワタ」と呼ばれる部分に密集しています。この配置には、以下のような植物の戦略が考えられます。

スイカの戦略:広範囲に拡散し、食べられやすさを追求

一方、スイカの種は、赤い果肉の中にまるでまき散らしたかのように点在しています。

このように、たかがスイカのタネと侮るなかれ、その色や入り方にも植物の生命の営みが凝縮されているのです。これからは、スイカを食べるたびに、その断面の模様やタネの色に注目して、植物の賢い仕組みに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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