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新幹線でジャンプしてもぶつからない!?100均おもちゃで解き明かす慣性の法則(ハーフスーパーボール実験)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

衝撃!新幹線でジャンプしてもぶつからない謎を解き明かす「ハーフスーパーボール」の科学

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生徒たちからこんな質問をされたことはありませんか? 「先生、新幹線の中でジャンプしたら、なんで後ろの壁にぶつからないんですか?」 多くの先生方が一度は耳にしたことがある、物理の授業でつまずきやすい、それでいて非常に興味深い質問ですよね。この素朴な疑問の裏には、慣性の法則という、物理学の根幹をなす重要な原理が隠されています。しかし、この慣性の法則をただ言葉で説明するだけでは、生徒たちはなかなかピンとこないものです。頭では理解したつもりでも、具体的なイメージが湧かず、結局は「そういうものなんだ」と終わってしまう…そんなもどかしさを感じている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回ご紹介したいのが、この新幹線の謎を驚くほど鮮やかに解き明かす**「ハーフスーパーボール」**を使った実験です。たかがおもちゃ、されどおもちゃ。この小さなハーフスーパーボールが、生徒たちの物理に対する苦手意識を吹き飛ばし、科学の面白さへと誘う強力なツールとなること間違いなしです。

ハーフスーパーボールはひっくり返しておいておくと、その場で元に戻る力によってジャンプをするというスーパーボールです。

「ハーフスーパーボール」という商品名を聞いたことがなくても、きっと一度は遊んだことがあるはずです。そう、あのタコの吸盤のような形をした、裏返して机に置くとポンッと跳ね上がるおもちゃです。

これをひっくり返して机の上に置くと、ポンッと上に跳ね上がりますよね。これはまさに、上向きの初速度を持った鉛直投げ上げ運動そのものです! ちなみに、このハーフスーパーボール、筆者は100円ショップのSeria(セリア)で購入しました。たった100円で、物理の奥深さを体感できるなんて、まさに科学のレシピの金字塔!

今日は、このハーフスーパーボールを使って、新幹線の不思議を生徒たちが「なるほど!」と膝を打つような実験をご紹介します。


科学のレシピ:新幹線ジャンプの謎解き実験

この実験は、準備も非常に簡単で、授業の導入や発展、あるいは自由研究のテーマとしても活用できます。

用意するもの

実験方法と授業での進め方

  1. 静止状態での観察

    • まず、生徒たちにハーフスーパーボールを机の上に置き、ひっくり返して跳ね上がる様子を観察させます。
    • 「これはどんな運動をしているかな?」と問いかけ、**「鉛直投げ上げ運動」であることを確認します。この時、「上向きに初速度を与えられている」**という点に注目させましょう。

  1. 慣性の法則を体感する

    • いよいよ本番です。力学台車の上にハーフスーパーボールを置き、台車を走らせながらハーフスーパーボールを打ち上げます。
    • **「外から見ている人」「力学台車に乗っていると想像する人」**の2つの視点から、ハーフスーパーボールの運動がどう見えるかを予想させ、観察させましょう。

予想と結果のポイント

この実験を行うと、生徒たちはきっと驚きと発見の声を上げるでしょう。

授業での発展

この実験結果を受けて、生徒たちに「なぜこのような違いが生まれるのか?」を深く考えさせましょう。ここで慣性の法則がキーワードとなります。物体は、外から力を受けない限り、静止している物体は静止し続け、運動している物体は等速直線運動を続けるという、ガリレオ・ガリレイやアイザック・ニュートンが発見したこの法則の重要性を実感させる絶好の機会です。

問題集などで文章での説明を受けることも多い慣性の法則ですが、実際に目で見て、体感することで得られる感動は格別です。安価で準備できるこの実験を、ぜひ日々の授業に取り入れてみてください。

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