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中学1年生「オームの法則」実験を成功させるための指導ポイント

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

理科の授業で電気回路を扱うたびに、「なぜかうまくいかない班がある」「予想と違う結果に首を傾げる生徒がいる」といった経験はありませんか?特に中学1年生にとって、「オームの法則」は電気現象の理解の基礎となる重要な単元ですが、目に見えない電気の流れを扱うため、概念の理解だけでなく、実験操作の習熟が成功の鍵を握ります。

先日、私自身も中学1年生を対象に「オームの法則」の実験を行いました。回路を組む段階で手こずる生徒が意外と多く、前回の授業で回路接続の練習をしたにもかかわらず、やはり実践的な経験がもう少し必要だと痛感しました。電気回路の接続は、単に部品をつなぐだけでなく、電流の流れをイメージしながら、論理的に考える力を養う絶好の機会でもあります。

また、本校では2種類の電源装置があるため、それが生徒たちの混乱を招いた一因かもしれません。異なる機器の操作は、初学者にとっては大きなハードルとなることがあります。しかし、これは同時に、機器の取扱説明書を読み解く力や、異なる情報を比較検討する力を育むチャンスでもあります。

今回の私の経験から、特に気をつけたいポイントと、授業準備に役立つ具体的な方法、そして実験から得られる深い学びについて、先生方と共有したいと思います。


授業準備のポイントと手順

1. 回路接続の徹底練習!手を動かす時間を確保しよう

オームの法則の実験に入る前に、抵抗器、電流計、電圧計、電源装置、スイッチといった基本的な部品を使って、いくつか簡単な回路を組む練習時間を設けることを強くおすすめします。

2. 電源装置の特性を理解させ、安全な使い方を徹底しよう

電源装置は、実験の要となる重要な機器です。学校に複数種類の電源装置がある場合は、それぞれの操作方法や特徴、安全上の注意点を丁寧に説明する必要があります。

3. 測定値と単位変換の練習を仕込む!

実験で得られた測定値は、表にまとめることが基本です。特に電流の測定では、テスターの表示が「mA(ミリアンペア)」であることが多いため、「A(アンペア)」への単位変換が必要です。

4. グラフ作成の基本を再確認!

実験結果をグラフにまとめる際、多くの生徒が折れ線グラフを描いてしまうことがあります。オームの法則では、電圧と電流が比例関係にあることを示すため、原点を通る直線(比例グラフ)で表すことが重要です。

折れ線グラフになってしまっています。


オームの法則から深掘りできる理科の知識

オームの法則は、(電圧V = 電流I × 抵抗R)というシンプルな式ですが、ここから様々な電気現象の理解につながります。


今回の実験では、45分という短い授業時間で終えるのが大変だったとのこと、お察しいたします。限られた時間の中で、生徒たちが深い学びを得られるよう、事前準備と指導のポイントを絞り込むことが重要ですね。

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