もうICTに振り回されない!『動詞スキル』に注目した授業

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「iPadを使えばこんなに教育が変わる!」

本当なのでしょうか?

ブレない授業のために、Prensky先生の『動詞スキル』を紹介します

 

動詞スキルと名詞ツール

様々なバズワードが飛び交う教育界において、なにが真に生徒にとって大切なのか、ぶれない信念がこれほど大切になっているときはないと思います。

そこで参考になるのが『パートナー方式の教授法』を執筆されたMarc Prensky先生の、スキルとツールの考え方です。

スキルとは、今を生きる生徒が、未来に真に役に立つ、身につけさせたい技術です。

ツールとはそのスキルを身につけさせるときに効果的な道具であり、時代時代によって変化しています。

 

たとえば「分析する」というスキル(動詞スキル)、について効果的なツール(名詞ツール)としてあげあているのが、

 

分析するための名詞ツール:

表計算ソフト、テキスト分析、構文解析ツール、スペリング・文法チェッカー、印紙分析、特徴分析、最適フィッティング、統計、批評

 

という数々の道具です。Prensky先生があげた一例で、たとえば統計解析ソフトR(アール)などもここに入るでしょうね。

また「対話する」という動詞スキルには、

 

対話するための名詞ツール:

Eメール、ショートメール、ブログ、携帯電話、Wiki、YouTube

 

などが例としてあげられています。

近年、ICTといえば電子黒板やiPadなどのタブレット端末となりそうなところです。でもこれは単なる名詞ツールです。

 

すごい可能性を秘めているツールであることに違いありませんが、ぼくたちが注意をしたいことは、動詞スキルを生徒に身につけさせるために、どんな名詞ツールが最適か!?ということ。

 

動詞スキルの種類

では21世紀を生きる生徒には、どんなの動詞スキルの種類があるのでしょうか。

本書では生徒に身につけさせたい動詞スキルを4つの分野にまとめて紹介しています。

 

いかにぼくたち教師が生きた20世紀のときに必要だったスキル・またツールと、現在生徒(デジタルネイティブ)が直面する必要なスキル・ツールに違いがあるかがよくわかります。

(本書には対応する名詞ツールものっていますが、特徴的的なもの以外、こちらは省略させていただきました。:以下にかかれたものが名詞ツールです)

 

情報を探索し操作する動詞スキル

分析する:表計算ソフト

調査する:サーチエンジン

読む  :インターネット

検索する・発見する:

検証する:

視聴する:ポッドキャスト、Youtube

効果的に考えるための動詞スキル

計算する:電卓、プログラミングツール

比較する:

決定する:

論理的な問いかけをする:

評価する:

実験する:デジタルカメラ、携帯電話(スマートフォン)

モデル化する:3Dプリンター

観察する:ビデオカメラ

予測する:

問題解決する:決定木(これはマインドマップ?ロジックツリー?)

熟考する:Wiki、ブログ

ソクラテス的問答法:ロジックツリー

批判的に考える:アウトラインツール

論理的に考える:

コミュニケーションとプレゼンテーションのための動詞スキル

簡潔に報告する:パワーポイント

協同する:Googleドキュメント

組み合わせる:

つなげる:SNS

協力する:

討論する:ブログ

対話する:Eメール、ブログ

自分の意見を表明する:デザインツール、CAD

聴く  :ポッドキャスト

交渉する:

ネットワークを作る:

共有する:

書く  :

 

構築し創造するための動詞スキル

適応する:

組み合わせる:

競争する:

デザインする:ブレインストーミングツール

導入する:

作る  :

モデル化して試す:製図用具

パーソナライズする:

計画する:

プログラミングする:

慎重に危険を冒す:ゲーム

シミュレーションする:ロールプレイングツール

 

以上です。

 

詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、授業はこの左側に書いた動詞スキルをいかに生徒に身につけさせることができるのか、常に意識をしていかなければいけません。

 

そしてICTの位置づけはたんなる右側のツールであり、一つの選択肢です。使うことが目的になりがちなので注意をしたいところです。

このことは僕もよく忘れがちで、また本書を読んで原点に立ち返りました。

 

たとえば先日行ったエネルギーの授業では、生徒にとって身近なディズニーランドのスプラッシュマウンテンの速度を計算させるような授業をおこなったのですが、計算にルートが出てきます。

昨年までなら、ルートの計算はぼくが前で大きな電卓を叩いてやっていました。

 

しかし今回は「パートナー方式の教え方」も導入していますから、グループに電卓を配って自由に使っていいから、10分以内に答えを出すように指示をしました。これは「効果的に考えるための動詞スキル」を身につけさせたかったからです。

 

やってみてわかったのは、電卓のルートボタン「√」の使い方がわからない生徒がいるということでした。でも教えません。グループで「4」を押してルートボタンを押して「2」となることを試して、じゃあ今回は・・・というように、やっていました。

 

教えるより100倍いいと思いました。

 

思えば物理の授業でも「物理」以外のいろいろなスキルを教えることができます。「科学」の科目では、もしかしたら全てのことを教えることができるのかもしれません。

 

先日は高校2年生で実験をさせて、そしてレポートも提出させましたが、これらもいろいろな動詞スキルが眠っています。

 

ようするに、教師がどんなスキルの獲得のために、この活動をやらせたい!という明確な目標をもって押していくことが、ICTに振り回されない一つのコツなのだと思います。

 

そして動詞スキルを生徒に学び取らせようとするときに、効率がいい授業形態が、反転授業、アクティブラーニング、ワールドカフェ方式、プロジェクトアドベンチャーなどなど、いわゆるパートナー方式の教授法の授業形態ということになるわけですね。

 

私立だとせざるおえない、「受験のための授業」っていうのは、生徒の為にすぐになっても、長い目でみると何か自分が社会似たいしてよくないことをしているような、そんな気がするときがありました。

 

本書を読んだおかげで、大学受験ではなくて、いやの他に?、社会似でてから生徒に身につけておかせたいスキルに、もっと注目することができて、安心をもって教えることができるようになり、また授業が楽しくなりました。

 

参考リンク

黒板を電子黒板にしよう!

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反転授業を見てきた!(レポート)

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パートナー方式の教授法について

20130920195309

ディズニーランド物理学

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20130924130129 今日の『科学のタネ』

名詞ツールに惑わされるな!動詞ツールを明確に。