【剛腕!!】トンボをキャッチした時のキキの腕に働く力の計算(魔女の宅急便)

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

飛行船から落下した #トンボ をキャッチした時、 #キキ の腕には相当な負担があったはず。いかほどになるのか、ストップウォッチ片手に計算をしてみると、細い腕が引きちぎられるくらいの大きな力が働いていることが判明しました。

キキの腕の負担を計算してみよう!

ジブリのアニメ「魔女の宅急便」では、最後のシーンでトンボという少年が飛行船から落下してしまいます。これをキキが助けるという場面が描かれます。この時箒を持つキキの腕に働く力を計算してみると、キキの力は凄まじい大きさであったことがわかります。注目ポイントは片手であるということです。今回はそんな物理計算をしてみたので考えてみましょう。

なぜトンボが飛行船についたロープにぶら下がっているのかということをまず説明します。これは風が強い日に、風に煽られて地上に停めてあった飛行船が飛んでいってしまったというシーンから始まります。キキはそれをテレビ中継でたまたま見ていました。トンボ含め数人の大人で、暴走する飛行船を地上にとどめておこうとして、飛行船についたロープを持って、地上に停めおこうとするのですが、うまく行かず、トンボ以外の大人は手を離していきます。

しかしトンボだけはロープから手を離さなかったため、一緒に飛行船と共に空高く舞い上がってしまいます。そのまま空を飛び続けて、高い時計台にぶつかり、飛行船からガスが漏れて、飛行船はその場で静止をします。ロープにぶら下がっていたトンボを助けようと、キキがなんとかデッキブラシに乗って到着をします。トンボに手を伸ばしますが、なかなか手が届きません。トンボも力尽きて、ロープから手を離して落下してしまいます(自由落下)。思わず「ワ!」と声をあげてしまいそうになります。宮崎先生の作品では、落下やジャンプなどの空中表現がうまくて、ドキドキしますよね。

トンボが自由落下をはじめると、キキが地面に落ちる前に、片手でデッキブラシに捕まり、もう一方の手でトンボの手をとり、間一髪、トンボを助けることができます。二人は空中で静止します。

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この少年を少女が受け止めるということについて、物理で考えてみると、果たしてどのくらいの力が働いているのか?ということについて、今日は計算してみたいと思います。

録画をしテレビの前に立ってストップウォッチをかまえます。トンボが落下してからキキが受け止めるまでの時間を測ります。

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ロープを離してしまった時のトンボの手

トンボが飛行船とつながっているツナから手を離してしまい、それをキキがキャッチ!

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その間を実際にテレビ映像を見ながら、ストップウォッチで落下時間を計測すると、

3.5秒!

ただしこのシーンに使われたコマ全てがキャッチをするまでに使われた時間ではありません。アニメをよくみていると、トンボが落下したその瞬間、観客の顔がアップになり、スローモーションになるからです。ここの時間をさっぴくために、時間を測ります。

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1.2秒でした。よって3.5秒からこのシーン、1.20秒を引くと、落下時間はおそらく2.30秒になります。この時間を使って、落下距離と速度を等加速度運動の式に当てはめて、求めてみましょう。

落下距離 
速度 v = 9.8×2.5 = 24.5 (m/s)

これは高校物理ではじめに勉強をする数式ですね!2.5秒の瞬間に、30mもトンボは落ちていたということがわかります。まだ地面に落ちていないから、相当な高さから落ちたのでしょう。そして2.5秒後の速度は24.5m/sです。このスピードになったトンボを、キキは片腕で受け止めて、力を上向に加えて0m/sの状態にまでもっていきます。トンボをキャッチしてからトンボが静止するまでにかかった時間をはかると、

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0.33秒でした!

トンボとキキの体重を仮に50kgとしましょう(ちょっと重いかもしれません)。これで必要な物理量はそろいました。 運動量と力積の関係から、キキがトンボを止めるために必要な平均的な力を計算してみると、

50×24.5 – F×0.33 = 50×0

はじめの運動量 +力積 = あとの運動量

F = 3712 [N]

 となります。これが0.33秒間にキキの腕にはたらいた平均的な力ということになりました。デッキブラシを持っている手にはこれ以外にも、またトンボの重さ(W=50×9.8=490N)がはたらきます。そのためキキの腕にはたらいた平均的な力は、3712+490=4202Nとなります。

よってこれらの結果から、キキの腕にはトンボの重さの 4202 ÷ 490 ≒ 8.5倍の力 がたらいたということになります。ぼくなら手を離してしまいますが、キキは離しません。普通は手を離さないと、腕がが引きちぎれてしまうと思われます。キキの腕が心配です。両手ならまだ良かった。片手です。片手にこれほどまでに負担がかかっていたとは驚きました。

もっと心配な「手」があった

 実はもっと心配なのがデッキブラシを持っている手の方で、

あちらには自重がかかるので、さらに+490Nとなり、9.5倍の力になります。このブラシを持ち続けるキキは剛腕であり、すごい筋肉の持ち主なのだと推察されます。やはり、魔法少女キキは普通ではないんだ、すごいんだ!ということがよくわかりました!もしかしたらこれも含めて愛の力なのだろうか、、、などと、想像は膨らみます。

運動量など物理の大切さが身近にかんじられる計算ですね。『大人のための高校物理復習帳』(講談社)の特設サイトもご覧ください。こちらからどうぞ。

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