あなたは解ける?電磁誘導のコの字型回路(電池パターン)

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。 

今日はコの字型回路その2!電池がついている場合について考えてみましょう。頻出の問題ですが、あなたは解くことができますか?なお抵抗がついている問題のパターンについてはこちらを御覧ください

問題PDFはこちらから

問題

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図のように、コの字の形をした抵抗の無視できるレールの上に、なめらかに左右に移動ができる金属棒(長さL[m]、抵抗R[Ω])をおいた。この回路の下には磁束密度B[T]の磁石が置いてあり、紙面裏から表向きに磁束が貫いている。レールに起電力E[V]の電池を接続して、電流を流すと金属棒が動き始めた。次の各問に答えなさい。

(1) 金属棒は左右のどちらに動きますか。

(2) 金属棒が速さv[m/s]で動いているとき、金属棒に発生する誘導起電力の大きさを求めなさい。

(3) (2)のとき、回路に流れている電流の大きさを求めなさい。

(4) (2)のとき、金属棒が受ける力の大きさを求めなさい。

(5) 時間がたつと、金属棒の速さは一定になりました。このとき回路に流れている電流の大きさを求めなさい。

(6) 金属棒の速さv0[m/s]を求めなさい。

解答・解説

(1) この図を立体的に書き直してみましょう。次の図のようになります。金属棒に流れる電流の向きは、電池のプラス極の向きから考えると、手前から奥向きになりますね。

電流は磁場から力を受けるので、金属棒に流れた電流は磁場によってある方向に力を受けます。フレミング左手の法則を使いましょう。すると図のように右向きに力を受けるので、金属棒は右に動き始めます。

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答えは右向きです。なお力の大きさはF=LIBの公式を使えば求めることができます。

参考までに、同じ現象をローレンツ力でも考えてみましょう(コレも大事なんです!)。電流はプラスの電荷の流れなので、プラスの粒子を考えると、粒子は電流の流れる方向に動いていることになります。左手の人差し指をプラスの電荷の動く向きに向けて、ローレンツ力の方向を確認してみてください。

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このように、一つ一つのプラスの電荷が、常に右側に力(f=qvB)を受けます。これらの力の合力が、電流が磁場から受ける力(F=LIB)になります。

(2) 金属棒が右向きに速さvで動くと、なぜ金属棒に誘導起電力が発生するのでしょうか。金属棒が右に動くということは、荷電粒子は電流の流れにそって手前から奥の向きに動くと同時に、金属棒自体が動くため、粒子は右にも動いていることになります

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この右向きの速度についてのローレンツ力を考えてみましょう。すると、次に図のように粒子は手前に力を受けることになります。

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電流の向きと同様に、粒子は奥向きに流れています。それに対して手前の方向に電気を動かそうとするので、この金属棒は手前がプラスの極の電池のはたらきをして、奥向きへ流れようとする粒子にブレーキをかけます。逆向きの電池ができるのですね。このときの誘導起電力は公式よりV=BLvとなります。

大切なので繰り返しますが、金属棒に逆向きの起電力(逆起電力)が発生し、その大きさが金属棒の速度vに比例することが大切です。

(3) 金属棒が電池になっているので、この回路を書きなおしてみましょう。

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注意点は2つあります。金属棒には抵抗があるため、Rをつけました(忘れないようにしましょう)。また金属棒にできる誘導起電力の向きは、プラス極が手前にありますが、電流はあいもかわらず手前から奥向きにながれているということです。誘導起電力が流そうとする向きに流れているわけではありません。なぜかというと、①はじめに電流が電池の方向に流れることによって、②金属棒が右に動き、③動いたことによって誘導起電力が発生しているからです。この点には特に注意をしましょう。

流れている電流をIとして、キルヒホッフの法則をつかって、回路を一周まわってみましょう。

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+E − BLv − IR =0

Iについて解くと、

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 となります。

(4) 金属棒が受ける力の大きさは、F=LIBより、

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(5) 金属棒の速さが一定になったということは、金属棒が力を受けなくなったといいうことを表しています。力を受けなくなったということは、F=LIBより、

0 = LIB

 となります。LとBは定数ですから、電流が流れなくなった(I=0)ということを示しています。

(6) 式①ののIに0を代入してみましょう。このときの速度が求める速度v’です。

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 これをv’について解くと、答えは、

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 となります。

(5),(6)については、数式を使って解きましたが、実際にはどのようなことが起こっていたのでしょうか。まず

① 電池によって回路に電流が流れて、金属棒が動きます。

② 金属棒が動くと、右向きの速度によるローレンツ力によって、金属棒に逆起電力がはたらきます。この逆起電力の大きさはBLvと表すことができ、速度が速くなると、どんどん大きくなっていきます。

③ そしてある速度v’になると、電池の電圧と逆起電力が等しくなり、回路に電流が流れなくなります。

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 いかがでしたでしょうか。段階別に、どのようなことが起こっているのかを考えていきましょうね。

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